また憲法関係の本。昨年9月頃読んだものだ。
昨年の夏から先月頃まで、このブログは開店休業状態だったのだが、ちょっと憲法の流れになってきたので、思い出して書いてみる。
本書は二人の対談を中心に収録したものだ。宮澤賢治の作品と彼の政治的活動の矛盾という切り口から入り、平和とは、愛とは、という話を展開していく。
そして、9条は、無茶で、非現実的で、守るには命がけの覚悟が必要だとしながらも、奇跡的に生まれた、日本だけでなく人類にとっての宝である、というようなことを言っている。
記述の分量でいうと、太田より中沢の方が多い感じがする(数えたわけではない)。また、はしがきもあとがきも中沢である。対談の内容は、太田の発想がリードしていると思うが、本としては、共著というより、太田を素材にした中沢の作品という感じもする。
憲法論議に理論的に参加するようなものではなく、9条を維持していくことの実現可能性とも向き合わず、そもそも憲法って何という部分にも触れず、絶対的平和主義だけを取り上げて観念的な話をしているこの本は、どこに向けて書かれたものなんだろうか。
太田は「この憲法を変えてしまう一員でありたくない」と言っているわけだが、この本は結局、漠然と憲法を護りたいと思ってる人に対しては不安を与えるだけで終わってしまっているのではないか。むしろ9条は変えた方がいいと言っているようさえ見える。本の中での熱い語り口とは裏腹に、言いたいことだけ言いっぱなしにして終わるところに安易さ、気楽さを感じてしまう。所詮タレント本と言ってしまえばそれまでだが、学者を名乗る中沢にはその言い訳は通用しないだろう。
タレント本として見るなら、共感できるところも多かったしそれなりにおもしろかった。